地球規模のパラダイムシフトを

加速する

今、世界は変わり始めています。2016年のアメリカ大統領選における、自らを社会民主主義者と名乗るバーニー・サンダース氏の躍進は、敗れはしたものの、今の格差拡大的な経済、社会システムに一石を投じました。続く2017年のフランスの大統領選では、二大政党以外所属のマクロン対ルペンの一騎打ちとなり、マクロン政権が誕生しました。これらの流れは、経済的に搾取され続けた民衆の怒りが、その矛先をいわゆる政治エスタブリッシュメント（特権的支配層）に向けた結果だと言えます。しかし、2018年の終わり頃、様相は一変しました。同じフランスで今度はイエローベスト運動が始まったのです。当初はマクロン政権の燃料税増税に対する反対運動と目されていましたが、それが海外に飛び火する兆しを見せると、違う解釈がされ始めました。それは世界的に搾取され続けた無数の労働者の怒りが、本当の敵を求めて街に溢れ始めた現象であると。

この解釈はまだ一般的ではないのかもしれません。しかし、今の金融資本主義の仕組み、特にお金の発行の仕組みを理解すれば、原因は特定の政党や政治家にあるわけではないことは明らかです。問題はもっと根深く、システムに根ざすものです。したがって、民衆が自分たちの怒りの元が本当はどこにあるのか、気づき始めるのは時間の問題でしょう。そしてその時には、必ずそれを変えようとする大きな運動が起こるはずです。フェア党がやろうとしていることは、その当然起こり得る新しい運動を日本で主導し、世界と共に新しい時代を切り開くことです。

今の金融システムを根本的に変えなければいけないのは、何も経済的に虐げられた労働者がそれを要求しているからだけではありません。地球の声なきあらゆる生物たち、そして未来の子どもたちの要求がそれを急務とするのです。なぜなら、そのあまりに自然と矛盾したシステムが無限の経済成長を強制し、地球環境を破壊し、すでに多くの種が絶滅を余儀なくされ、さらに多くの種が風前の灯火だからです。そもそもお金という全く存在しない概念が、さらに所有や権利という、これも全く実在しない想念を人間の頭の中だけに作り出し、それが実在する自然を破壊し続けるという愚。その愚かさに気づけば、これを変えようとする動きは必然です。つまり、これは悠久の時の流れの中で、地球が当然要求する新陳代謝なのです。人類がそれに応えなければ、人類ごと淘汰されるまでです。ですから、これは地球規模の価値観の転換（パラダイムシフト）でなければなりません。何故なら、これら全ての問題を引き起こしているのは人間の頭の中の想念であり、その頭の中を変えないと問題は解決しないからです。今まで当たり前としてきた考え方や概念を根本からひっくり返すことを地球が我々に要求している。それが地球規模のパラダイムシフトの意味です。

さて、その大きな流れの中で、日本はとても重要な役割を担っています。日本のような世界一の黒字を稼ぐような生産性の高い国だからこそ、そして若干皮肉めいていますが、それを無理矢理稼いでしまう自己犠牲の国だからこそ、できること、やるべきことがあるのです。まずは、国家経営の根本的な過ちですでに説明した通り、世界一の対外純資産を背景に、政府紙幣を発行し、それを配ることも好きなように使うことができます。それで経常赤字にすることが、その世界一の黒字を使う方法だからです。日本が最もそれをやる資格のある国ということになります。そして、それをどのように好きに使うのかと言えば、このパラダイムシフトを促進するために、完全に次世代型の社会に作り変えるために使うのです。すなわち、完全循環型の持続可能な社会インフラとそれを支える技術、ノウハウの開発や、従来の没個性的な中央集権型資本主義（資本家が全ての権限を持つ所有主義）を脱し、より個人を尊重する社会にするための思想、法律、税制の整備など。当分黒字を稼ぐ必要がないとなれば、そこの多くの人材の時間と労力を投入できます。この他にも成熟した先進国が持つ特有の問題（少子高齢化、労働力不足など）に対しても、従来型の資本主義を脱した考えの下に、新しい発想で取り組めば、それが多くの国のモデルとなるでしょう。そのような世界の範となる先進的な経済、社会を構築することこそが、日本の新しい役割、使命であり、それに全力で取り組めば、世界のパラダイムシフトを加速することになるでしょう。